30年前の文字フォントについて
こんにちは!カード印刷のブログです。
デザインはクリエーターにしか出来ない創造性が必要となり、普通の人ではなかなか「これ!」というようなものは出来ないと思われますが、文字(フォント)については、機械やコンピューター処理出来るので慣れていけば抵抗なく使いこなせるものです。
ただ、30年以上前の時代は文字=フォントは、とっても大変なものでした。
【商業印刷で使われる写植文字】
電車の中で良くみかけた「吊り広告」の文字ですが、写研という会社が作ったフォントが一般的でした。
「ゴナ」とか「ナール」とか懐かし響きです。
現在でも写研から販売されている写植機はこんな感じのものです。
一般の方で、免許証を更新するときに、自分の住所とか名前を小さな虫メガネのようなもので1字づつオペレーターが拾っていたのを記憶されている人もいるかと思います。
指定書体で作った文字フォントの一覧の中から1文字づつ選択していくという業務は、熟練工のような仕事でした。
【ワープロ】
一般人が文字を打ち込む機械は、1978年に東芝が発売したJW-10と言う630万円ワープロから始まり、富士通のOASYS親指シフト、シャープの書院、などなどが続々と発売され、低価格なワープロで文書を作成出来る時代となりました。
ただ、写植文字品質と比較すると点(ドット)の白黒で形作るもので、ひらがななどはギザギザになってしまいました。
出典:モトヤフォントビットマップフォントHPより
もう一つのデメリットは、ワープロで使う文字の数でした。
初期のワープロは、JIS第一水準(2965文字?)しかなく、第二水準(3390文字)を合わせても人名を網羅出来なかったのです。
→例えば、渡辺という苗字は渡邊、渡邉など少しづつ違っていても複雑な漢字が出ませんでした。
どうしても必要な場合は、「偏」と「旁」を合体させるなどして「外字」を作るしか方法がありません。
【Windowsパソコンの文字】
一般的にパソコンと呼ばれるものが普及したのは1981年にNECから発売されたPC-8800シリーズからだと思います。
俗に言うPC-98シリーズや互換機のEPSONパソコンの時代、ワープロと同様にJIS第一、第二水準の文字が入った漢字ROMが入ったプリンターにパソコンからJISコードを送り、それを判読したROMから文字を印刷するという仕組みでした。
つまり、パソコン側で表示される文字フォントとプリントされる文字フォントが違っていました。
伝送速度も遅く、真ん中に一時的にデータを貯める「バッファー」と呼ばれる機器を入れて使うこともしていました。
パソコン画面に表示された文字をそのまま印刷出来るようになったのは、1995年から発売されたWindows95からでした。
Windows95には「角ゴシック」「明朝体」などのギザギザの無いアウトラインフォントを搭載していたのです。
この頃からワープロよりもパソコンの方が優位性があった為、文字編集しか出来ないワープロはどんどんとメーカーが撤退し2006年3月東芝がRUPOのサポート業務を終了してしまいました。
【Windowsフォント】
2023年現在、WindowsPCで使われている文字フォントは100以上あると思います。
↓ 游明朝の文字です
ワープロ時代のドット文字(フォント)と比べると拡大してもきれいですね!
JIS(X 0208-1997)で定められた6879文字(漢字6355字)が登録されています。
(MACBOOKなどmacOSで使われるフォントは、Windowsよりも歴史があるのでイラストレーターなど良く使う1500以上あるモリサワフォントなどが一般的です。)
人名をカバーするにはJIS第一水準2965文字、第二水準3390文字では足りず、特殊な文字は「環境依存」となっていたり偏と旁を合体するなどして外字を作るしかありません。
特殊な名前や苗字の方は、電子申請などで利用出来ないため不便をしいられることとなります。